はじめに
網膜色素変性症(Retinitis Pigmentosa:RP)と診断されたとき、多くの方が最初に思うのは、
「治療法はあるのだろうか?」
「失明してしまうのだろうか?」
という不安ではないでしょうか。
私自身も30代半ばで診断を受けた際、真っ先に治療について調べました。
しかし、インターネットで検索すると「根本治療はない」「治らない病気」といった情報が多く、不安になったことを覚えています。
一方で、現在受けられる治療や進行予防のためにできること、そして将来期待される治療法もあります。
この記事では、私自身の経験も交えながら、網膜色素変性症の治療についてまとめてみます。
網膜色素変性症は治るの?
2026年現在、網膜色素変性症を完全に治す治療法はまだ確立されていません。
しかし、
- 病気の進行を遅らせることを目指す治療
- 合併症に対する治療
- 見え方をサポートする治療
は行われています。
また、遺伝子治療や再生医療などの研究も急速に進んでおり、将来への期待が高まっています。
現在受けられる薬物療法
メチコバール®(メコバラミン)
ビタミンB12製剤です。
神経細胞の働きをサポートする目的で処方されることがあります。
比較的安全性が高く、長期間服用される患者さんも少なくありません。
ただし、病気を治したり視力を回復させたりする薬ではありません。
アダプチノール®
網膜細胞の代謝改善を目的として使用される薬です。
網膜色素変性症患者に長年処方されてきた薬の一つであり、進行抑制や網膜機能維持を期待して使用されます。
ニルバジピン
もともとは高血圧治療薬として使用されているカルシウム拮抗薬です。
日本からの研究で、視野障害の進行抑制効果が示唆されており、一部の医療機関で処方されています。
カルナクリン®
網膜への血流改善を目的として処方されることがあります。
補助的な治療として位置付けられており、根本治療ではありません。
私自身が感じていること
私自身もメチコバールやアダプチノールなどの治療を続けています。
正直なところ、
「薬を飲んだから見えるようになった」
という実感はありません。
しかし網膜色素変性症は進行性の病気です。
だからこそ、
「今ある視機能を少しでも長く維持したい、症状を軽くして生活したい」
という思いで治療を続けています。
将来、新しい治療法が実用化されたとき、その恩恵を受けられるように今の視機能を守ることにも意味があると考えています。
合併症に対する治療
白内障手術
網膜色素変性症では比較的若い年齢で白内障を発症することがあります。
白内障手術によって視力やまぶしさが改善する場合があります。
実施時期については専門医の判断が重要です。手術は網膜に強い光が当たるため、そのダメージは看過できないものになります。
黄斑浮腫の治療
黄斑浮腫を合併した場合には、
- 点眼治療
- 内服治療
- 注射治療
などが行われます。
黄斑浮腫が改善すると視力向上が期待できます。
ロービジョンケアも大切な治療
現在の診療ではロービジョンケアも非常に重要です。
例えば、
- 遮光眼鏡
- 拡大読書器
- スマートフォンの音声読み上げ機能
- 各種福祉制度
などを活用することで生活の質を向上させることができます。
遮光メガネは結構効果的でした。室内でも羞明が抑えられるので、目の痛みが少なくなります。物のコントラストがつきやすく感じて見えやすい気もします。最近は、遮光メガネと共に紫外線で色が変わるレンズにすると特に眩しい屋外での生活も楽になります。室内に入った瞬間は見えづらいですが。。。
音声読み上げは、まだ利用していませんが、アイフォンに標準搭載のヴォイスオーバーは有用に感じています。音声コントロールも性能も上がり、今後はスマホをしっかりと利用していけると思います。Gemini Liveのカメラ機能も使いこなせば素晴らしい機能だと思っています。
日常生活で気を付けていること
強い光を避ける
網膜色素変性症では、強い光による網膜への負担が懸念されています。
特に、
- 真夏の強い日差し
- 雪面や水面からの反射光
- 長時間の屋外活動
では注意が必要です。
私自身も外出時には遮光眼鏡やサングラスを使用しています。
まぶしさが軽減されるだけでなく、目の疲れも少なくなるように感じています。
禁煙を心がける
喫煙は血流障害や酸化ストレスを引き起こし、網膜にとって好ましいものではありません。
網膜色素変性症だけでなく、
- 加齢黄斑変性
- 糖尿病網膜症
など多くの眼疾患でも喫煙はリスク因子として知られています。
視機能を守るためにも禁煙は重要だと考えています。
定期受診を続ける
症状に変化がなくても定期的な眼科受診は大切です。
- 白内障
- 黄斑浮腫
- 遺伝子検査
- 治験情報
などを早期に把握することができます。
将来期待される治療
遺伝子治療
異常のある遺伝子に対して正常な遺伝子を導入する治療です。
現在、多くの研究や治験が進行しており、最も期待されている治療法の一つです。
iPS細胞を用いた再生医療
日本が世界をリードする研究分野です。
失われた網膜細胞を補うことで、将来的な視機能回復が期待されています。
神戸アイセンターでの治験が期待されます。2020年に実施された治験では、生着には問題なく、重大な副作用は認めていないとのことです。実際の効果についての報告はまだなく、引き続きの治験が行われていないことからは、まだ追加の検討が必要な状況なのでしょうか?
人工網膜
電子デバイスによって視覚情報を脳へ伝達する技術です。
まだ発展途上ですが、視覚再建の新たな選択肢として研究が進められています。
まとめ
現在のところ、網膜色素変性症を完全に治す治療法はありません。
しかし、
- メチコバール
- アダプチノール
- ニルバジピン
- ルナクリン
- ロービジョンケア
などを活用しながら、今ある視機能を維持することが大切です。
また、
- 強い光を避ける
- 禁煙する
- 定期受診を続ける
といった日常生活での工夫も重要です。
そして将来的には、
- 遺伝子治療
- 再生医療
- 人工網膜
などの新しい治療法が実用化される可能性があります。
私自身も患者の一人として、研究の進歩に希望を持ちながら、今できることを続けていきたいと思っています。

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