― 大学院生医師の妊娠・出産にまつわるお金のリアル ―
この記事は、
「大学院生として在学中の医師が、妊娠・出産を迎えたときのお金の話」
という、かなりニッチな体験談をもとにまとめたものです。
体験談ではありますが、
- もらえるお金
- 出ていくお金
- 節税の考え方
- 人生設計のヒント
といったエッセンスを、同じ立場の方に少しでも役立ててもらえたらと思います。
妊娠・出産は本来とても幸せな出来事です。
ただ、制度を知らないと「数百万円単位」で差が出てしまうこともあります。
まず知っておきたいこと:もらえるお金
出産前後には、実はかなり大きな公的給付があります。
① 出産手当金
産前6週・産後8週(多胎妊娠はさらに長期)の休業補償
- 支給額:おおよそ月給の2/3程度
- 非課税
- 支給上限あり
② 出産育児一時金
- 出産費用の補填
- 原則50万円
③ 育児休業給付金
産後8週以降の育児休業中の補償
- 支給額:おおよそ月給の2/3程度
- 非課税
- 支給上限・支給期間あり(最大30万円程度?)
【重要】大学院生医師の注意点
原則として、大学院生医師が受け取れるのは②出産育児一時金のみです。
つまり、①、③がないので
数百万円単位の差が出る可能性があります。
なぜか?
- ①出産手当金
→ 健康保険(被用者保険)加入が条件
大学院生医師は、入学時に常勤を退職し
国民健康保険や医師国保に加入しているケースがほとんど
(※非常勤でも常勤の3/4以上勤務していれば職場の健康保険に加入可能) - ②出産育児一時金
→ 健康保険・国民健康保険どちらでも支給 - ③育児休業給付金
→ 雇用保険加入が条件
学生の非常勤勤務は原則対象外
※夜間学生、長期休学、職場命令での大学院進学などは例外的に雇用保険加入可能
次に確認したいこと:出ていくお金
主な支出
- 国民健康保険料 or 医師国保
※年収500万円超なら医師国保の方が有利なケースが多い - 国民年金保険料
- iDeCo
- 生活費・養育費など
4.は避けられませんが、
1.〜3.は戦略的に考える余地があります。
社会保険料の免除と扶養の考え方
出産後の免除制度
- 国民健康保険料・国民年金保険料(社会保険料)は
出産後4か月間免除(要申請)
(しかも「払ったことにしてもらえる」) - 5か月目以降は支払いが必要
⇨夫の社会保険上の扶養に入るか検討!入るべき!
ちなみに・・・
夫婦それぞれで支払った保険料は確定申告で
夫または妻の社会保険料控除にまとめて入れることが可能です。
(収入が高い方につけた方が有利なことが多い)
夫の社会保険の扶養に入るメリット
夫が会社員の場合、
**社会保険上の扶養(第3号被保険者)**に入ることができます。
メリット
- 国民健康保険・医師国保の保険料が不要
- 国民年金保険料も不要(払ったことにしてもらえる)
よくある誤解:「年収の壁」
社会保険上の扶養は、
**「今後1年間の年収見込み」**で判断されます。
⇨今年のすでに受け取り済みの給与は関係なし!
- 目安月収:約10万円以下(2026年現在)
- 過去の収入は関係なし
出産を機にアルバイトをやめ、
無収入または月給約10万円以下で過ごすなら、
夫の扶養に入り、年収の壁130万は考える必要ありません。
iDeCoはどうする?
iDeCoは本人の所得控除のため、
上記の社会保険料控除と違い夫の控除に回すことはできません。
iDeCo掛金上限の違い
- 扶養に入らない場合(フリーター扱い):
年81.6万円(控除に使える) - 夫の扶養に入った場合:
年27.6万円(控除に使える)
この違いが影響するのが、所得税における年収の壁!
・基礎控除+給与所得控除=178万円
・出産までの収入が178万円を超えているならiDeCoの控除メリット
⇨所得税0も目指せる!
ポイント
- 出産後4か月の社会保険料免除期間が終了してから
夫の扶養に入るのがおすすめ
理由:
- iDeCoの掛け金が多い!
⇨所得控除・運用益非課税メリットを最大限活かせる - 社会保険料の自己負担が最小限になる
⇨出産5ヶ月目からの出費が減る。
※もちろん、扶養のことを気にせず
バリバリ働くのが最も収入は多いです。
その他:医療費控除も忘れずに
- 医療費控除:年間10万円を超えた医療費は医療費控除の対象
- 家族分をまとめて申請可能(ドラッグストアの風邪薬でもOK)
- 収入が高い方で申告すると節税効果が大きい
意外と見落としがちですが、
赤ちゃん用の電動鼻水吸引器は医療費控除の対象です。
購入時期を調整するのも一つの戦略です。
おまけ:大学院生医師とiDeCoの意外なメリット
iDeCoは、大学院生医師にとって
通常よりメリットが1つ多い制度です。
退職所得控除との関係
退職所得控除は
800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
大学院在学中は「雇用されていない」ため
勤続年数に含まれません。
4年間大学院に在学すると、
280万円分の退職所得控除を失う計算になります。
iDeCoの拠出期間は
この勤続年数の代わりとしてカウントされるため、
少額でも続けることで将来の控除面で有利になる可能性が高いです。
まとめ
- 大学院生医師の妊娠・出産は制度理解で大きな差が出る
- 社会保険・扶養・iDeCoの組み合わせが重要
- 「知らないと損する」けれど、知っていれば備えられる
かなりニッチな話ですが、
同じ立場の方の参考になれば嬉しいです。
結論:大学院生医師の妊娠・出産で一番お得な選択
大学院生医師が妊娠・出産を迎えた場合、次の流れが最も手出しが少なくなりやすいです。
- 出産育児一時金(約50万円)は保険に関係なくもらえる
- 出産後4か月間は国保・国民年金の免除を使う
- 免除期間終了後に夫の社会保険の扶養に入る
- iDeCoは控除メリットを参考に可能な範囲で継続する
- 医療費控除は必ず高所得者側で申告する
👉 これだけで
社会保険料・税金・将来の控除を含めて数百万円単位の差が出る可能性があります。

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