「帯状疱疹ってよく聞くけど、そんなに怖い病気なの?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、帯状疱疹は50歳から80歳までに約3人に1人が発症すると言われる身近な病気で、激しい痛みや長期の後遺症(帯状疱疹後神経痛、アロディニア)を残すこともあるため、早期の予防や適切な治療がとても重要です。1度感染をしても6.4%の割合で再発することもあり、その予防に対して注目がされてきています。(Shiraki K., Toyama N.et al.: Open Forum Infect Dis.4(1), ofx007, 2017)
この記事では、帯状疱疹の基礎知識からワクチンの種類、副反応、最新の費用・助成制度情報までを、信頼できるデータをもとに詳しく解説します。
特に2025年度から、年度内に65歳になる方(または、特殊な病態の方)への帯状疱疹ワクチンの予防接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象になり、費用に補助がでるようになりました。経過措置の5年以降は、65歳以外は自費での予防接種になるため、希望される人は経過過措置期間の5年間に自分が適応年齢(5歳刻みまたは、100歳以上の方)かの確認が必要ですので注意が必要です!
帯状疱疹とは?|再活性化する“水ぼうそう”のウイルス
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(VZV)が、加齢やストレスなどで免疫が低下したときに再活性化して発症します。
主な症状は以下の通りです:
- 体の左右どちらかに帯状に現れる赤い発疹(痛みの後に出現することもある)
- ピリピリ・ズキズキとした強い神経痛
- 重症化すると発熱、倦怠感
- 耳や顔の付近に生じると聴覚・視覚の障害を伴うこともあり注意が必要
なぜ「怖い」のか?
一番の問題は帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる後遺症です。発疹が治っても数カ月〜数年にわたって発作的な痛みやちょっと触れただけで痛みを感じてしまう事(アロディニア)が続くことがあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
帯状疱疹の発症リスクと年齢の関係
- 50歳以上:リスクが大幅に上昇
- 80歳までに3人に1人が発症
- 糖尿病・がん治療中・免疫抑制状態の人も要注意
年齢とともに免疫が低下するため、50歳を過ぎたら予防接種を検討するのが推奨されています。
帯状疱疹ワクチンの種類と違い【2025年最新情報】
種類 | シングリックス(不活化ワクチン、組み替えワクチン) | 乾燥弱毒生ワクチン(ビケン) |
---|---|---|
対象年齢 | 50歳以上 | 50歳以上 |
接種回数 | 2回(2ヶ月間隔) | 1回 |
予防効果 | 約90%以上 | 約50〜60% |
後遺症予防 | 〇(効果あり) | △ |
副反応 | 局所の腫れ・発熱(比較的強め) | 軽微なものが多い |
接種費用(目安) | 約4〜5万円(2回分) | 約8,000〜1万円程度 |
ワクチンの効果持続期間
帯状疱疹に対する効果 | 組換えワクチン | 生ワクチン |
接種後1年時点 | 9割以上の予防効果 | 6割程度の予防効果 |
接種後5年時点 | 9割程度の予防効果 | 4割程度の予防効果 |
接種後10年時点 | 7割程度の予防効果 | ― |
ワクチン接種のタイミングと流れ
- 50歳以上であれば接種可能
- かかりつけ医や皮膚科、内科で相談
- シングリックスは2回接種が必要(2ヶ月以上あけて)
- ビケンは、免疫抑制状態の人は打てない
副反応は?|安心して接種するために
多くの方が心配するのが副反応です。
- 腕の腫れ・痛み:数日間続くことあり
- 発熱・倦怠感:数日で改善することがほとんど
重篤な副反応は非常にまれですが、既往歴やアレルギーがある方は医師に相談してください。
主な副反応の発現割合 | 組換えワクチン | 生ワクチン |
70%以上 | 疼痛* | ― |
30%以上 | 発赤*、筋肉痛、疲労 | 発赤* |
10%以上 | 頭痛、腫脹*、悪寒、発熱、胃腸症状 | そう痒感*、熱感*、腫脹*、疼痛*、硬結* |
1%以上 | そう痒感*、倦怠感、その他の疼痛 | 発疹、倦怠感 |
*ワクチンを接種した部位の症状。
#頻度は不明ですが、生ワクチンについては、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎が、組換えワクチンについては、ショック、アナフィラキシーがみられることがあります。
各社の添付文書より厚生労働省が作成したものを一部改変(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html)
予防接種法の改定に伴う助成金について
2025年4月1日より、帯状疱疹ワクチンが予防接種法の定期接種に位置付けられるようになりました。
ワクチン接種対象者は以下の通りです。
- 65歳を迎える方
- 60~64歳で対象となる方(※1)
- 2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳(※2)となる方も対象となります。
※1:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方。※2:100歳以上の方については、2025年度に限り全員対象。
簡単にいうと2025年度から65歳以上の人は5歳ごとに5年間、ワクチンの定期接種の対象になり、助勢が受けらえるということ!これを逃すと全額自費で受けることになるので非常に注意が必要です!
例:
- 山口市:シングリックス1回 自己負担:数万円→6620円 2回接種必要
- 山口市:ビケン1回 自己負担:数千円→2660円 1回接種のみ
お住まいの地域の保健所や自治体HPで「帯状疱疹ワクチン 助成」などで検索してみてください。
まとめ:今できる帯状疱疹対策とは
- 帯状疱疹は加齢とともにリスクが高まる病気
- 発症後は後遺症が長く続くことも
- ワクチン接種は発症予防・重症化予防に有効
- 定期接種の年齢になったら、早めの対応決定を
【筆者からの一言】
私自身、親族や90歳を過ぎたおばあちゃんが帯状疱疹後の神経痛に悩まされていたのを見て、ワクチン接種の必要性を強く実感しました。
定期接種は1回だけしか助勢がありませんので、費用や接種回数、副反応も気になりますが、ワクチンの効果とその持続時間を考えてどちらのワクチンを使うかを決めてくださいね。
不安な方は、まずかかりつけ医に相談してみてください。
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