どうも。
今日は少し勉強した内容について記事にしています。個人的に、iPS細胞はもっとも期待されている分野だと感じています。
網膜色素変性症について
(参考:日本眼科学会/指定難病サイト/公益社団法人日本網膜色素変性症協会)
この病気は、目の遺伝子異常によって発症する進行性の疾患です。明らかな家族歴がある人もいれば、突然発症する孤発例もあります。遺伝形式には常染色体劣性遺伝、優性遺伝、伴性遺伝など複数のタイプが存在します。
主に目の**桿体細胞(視野の周辺部に分布し、明るさを感知する細胞)**がアポトーシス(細胞の自然死)を起こして減少していくことで、視覚障害が進行していきます。
発症時期や進行速度には個人差があり、30代で視機能をほとんど失う方もいれば、比較的緩やかに進行し、高齢になってもある程度の視野が保たれる方もいます。ただし、完全に失明するケースも少数ながら存在します。実際、網膜色素変性症は日本における失明原因の第2位となっています(※第1位は緑内障、第3位は糖尿病性網膜症)。
症状について
最も初期に自覚しやすいのが**夜盲(暗い所での視力低下)**です。
暗い場所で「見えにくい」「足元の障害物がわかりづらい」「全体が把握しづらい」などが最初のサインです。
ほかにも、
- 視野の狭窄や欠損(人や物によくぶつかる、横を向くと人がいてびっくりする)
- パソコンのマウスポインターが見つけにくい
- テレビ画面の端の方の時刻やテロップに気づきにくい
- 色の識別やコントラストの低い表示が読みづらい
- まぶしさや、全体が白っぽく見える
などの症状もあります。
この病気は進行性で、症状の出方や進行速度には個人差があり、視力低下や色覚異常が初期に出ることもあります。
治療について
原因が遺伝子異常のため、根本的な治療法は現在のところ確立されていません。進行を遅らせたり、症状を軽減することを目的とした対症療法が中心です。
内服治療(診療ガイドラインより)
- アダプチノール
- カリジノゲナーゼ
- ビタミンA、E
- 二ルバジピン(※)
- その他:ビタミンCやB12なども神経保護の観点から推奨されることがあります。
※診療ガイドラインはやや古いため、最新の研究報告も併せて参考にするとよいです。ガイドライン後半には研究などの情報も載っています。
治験・研究情報(治験モニターサイト)
- 慶應義塾大学:キメラロドプシンを用いた視覚再生治療製剤(2025年2月治験予定)
- 九州大学:PEDFを使った神経栄養因子補充治療(治験)
- アメリカ:他家iPS 細胞由来網膜シート(立体網膜)を用いた網膜色素変性治療
- X連鎖性網膜色素変性症に対する治験
- Skyline社:Skyline社の遺伝子治療
- 網膜色素変性の進行を抑制するスタチン封入ナノ粒子薬の開発
iPS細胞・先進医療
- 神戸アイセンター(内容,記事①,記事②,)
- My IPSプロジェクト
ここ数年〜数ヶ月の間に、急速に新しい治療法の研究が進んでいます。早期の実用化に期待が高まりますね。
不安なときは?
自覚症状がある場合:
→ 眼科での受診を強くおすすめします。眼底検査などで比較的簡単に検査ができます。
遺伝が心配な場合:
→ 目を守る予防的な生活を意識しましょう。
- サングラスの着用
- 強い光を避ける
- 禁煙 など
また、**診断前なら一般の保険加入(医療保険・生命保険・所得補償保険)**も検討されると良いでしょう。公的保険は会社員が有利です。将来身体障害者になった場合、障害厚生年金も受給できますが、診断日に厚生年金制度に加入している必要があるのでご注意を。
診断されたら?
- 目への負担を減らす(強い光・青色光の回避)
- 遮光眼鏡の使用
- 難病指定に指定されているので難病申請をし、医療費の助成を受けられる
- 身体障害者手帳の取得により補助制度を活用可能
進行した場合(事前に慣れておくことがお勧めされます)
- スマホ用の視覚支援アプリ(写真を撮ると文章を読み上げてくれるアプリなど)
- iPhoneの**「VoiceOver」機能**はSiriで簡単にON/OFF可能
- Macにも視覚障害者向け設定あり
- OrCam MyEyeのようなウェアラブル視覚支援機器も注目(日常生活用具給付金制度が利用できれば、助けになることが期待される)
働けなくなったら?
- 働けるうちに資産形成を意識しましょう。
- **障害基礎年金(1級:約97万円/年、2級:約78万円/年)**の対象となる場合があります。
- 国民年金の未納がある場合は追納を検討。
- 年金は2階建て構造。障害厚生年金もあります。
- 障害厚生年金は年収と加入期間で金額が変わるが、短期間(25年未満)勤務であったとしても25年勤務として支給対象になる可能性があります。(シミュレーションサイト)
子どもへの遺伝が心配な場合
→ 今後の医療技術の進展に期待しましょう。遺伝子診断や遺伝カウンセリングなども選択肢です。
最後に
これまで治療法のなかった病気にも、少しずつ「光」が見えてきました。
iPS細胞や遺伝子治療の進歩には大いに期待しています。視覚の再生にとどまらず、脳や脊髄、臓器など他の分野にも応用されていく未来が近づいています。
では、また。
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